梨状筋のストレッチ方法とは?
梨状筋は、坐骨神経痛や非特異的腰痛の治療ターゲットになることが非常に多いです。
解剖学的肢位における梨状筋の作用は、股関節の外旋、伸展、外転であり、外旋が最も強い作用です。
ですが、、、
股関節の屈曲角度増加に伴い、外旋→内旋に作用が変わるという大きな特徴があります1)。
具体的には、
『股関節屈曲0°位では、外旋作用を有します』
が、股関節が屈曲するのに伴い外旋モーメントアームは低下し、
『股関節屈曲60°位では、回旋作用が無くなります』
そこからさらに屈曲角度が増加すると、内旋作用に転じ、
『股関節屈曲90°位では内旋作用を有しています』
この特徴から、
梨状筋をストレッチするには、
- 股関節屈曲0°位 では、
→股関節の内転、内旋方向に伸張
- 股関節屈曲60°位 では、
→股関節の内転方向に伸張
- 股関節屈曲90°位 では、
→股関節の内転、外旋方向に伸張
すればよいことになります。
では、、、
最も梨状筋をストレッチできるのはこの中でどの肢位か・・・?
ずばり!!!
続きを読む理想的な立位姿勢とは?
姿勢評価は、理学療法士にとって必須のスキルのひとつです。
今回は、理想的な立位姿勢をご紹介します。
そもそも理想的な立位姿勢とは、
- 身体動揺が少ない
- 姿勢を乱すような重力の影響が最小
- 筋活動やエネルギー消費が最小
これらの要素が満たした姿勢を言います1)。
では具体的にどういった姿勢がこれに当てはまるのか。
理想的な立位姿勢は1889年にBrauneとFischer によって示されています。
矢状面と前額面に分けてご紹介します。
矢状面
矢状面の重心線は、耳垂、肩峰、大転子、膝関節前部(膝蓋骨後面:膝前後径の前1/3)、外果の2~3cm前部を通ります。この時、上腕骨は床面に対し垂直位で、肩甲骨は、前額面から前方に約35°傾斜します。骨盤は、上前腸骨棘が上後腸骨棘より約2横指前傾位となります。
前額面
前額面の重心線は、後方からみて、外後頭隆起、椎骨棘突起、殿裂、両膝関節の内側の中心、両内果間の中心を通ります。この時、肩甲骨の内側縁(肩甲棘から下角の手前まで)は棘突起と平行で、かつ、胸椎棘突起との距離が、成人男性では約7cm、成人女性では5~6cmあります。前方からみたときは、胸骨下角(下部肋骨のなす角度)は70~90°(左右それぞれ35~45°)となります。骨盤は腸骨稜が水平位で、膝関節は、約5°外反位となります。
座位でも、骨盤から上方の理想的なアライメントは同じです。
この理想的なアライメントから、どこかの部位が逸脱することで、力の釣り合いは崩れ、筋や靱帯、関節面へのストレスが増大します。
例えばですが、「パソコンをやっていると首がいつも凝って痛くなるんです」という患者さんの姿勢を評価するとします。
座位姿勢を矢状面でみたときに、耳垂が重心線より前方にある(頭部前方位)と、後頚筋群の過剰な筋活動を予測しますよね。
本当に基礎的なことですが、姿勢評価ではこれが大事な視点になります。
もちろん、身体の一部分だけを観察しても、問題点は解決できません。
頭部前方位になった原因は、胸椎伸展可動性の低下によるのか、ハムストリングスの短縮によって骨盤が後傾位になる運動連鎖なのか、腸腰筋や腰部多裂筋の活動低下によるのか等、評価をすすめる必要があります。
少し話が脱線しましたが、、、
まずは、身体に負担の少ない理想的な姿勢をしっかり頭に入れておくことが、姿勢評価の第一歩です。
次回は、不良姿勢にはどんな種類があるのか、それぞれの姿勢ではどこに負担がかかるのかをまとめていきたいと思います。
参考・引用文献
1)中村隆一:基礎運動学 第6版.医歯薬出版株式会社,2011.
2)竹井仁:姿勢の教科書.株式会社ナツメ社.2015.
仙腸関節障害による痛みはどう評価する?
非特異的腰痛の原因のひとつに、仙腸関節障害が挙げられます。
実際の臨床では、仙腸関節に問題を抱える患者さんはかなり多いです。
今回は、
これは仙腸関節障害による痛みだ!
と判断するための評価方法についてご紹介します。
まず、仙腸関節障害を疑うのは、以下の部位に患者さんが痛みを訴えた時になります。
One finger testといって、患者さんに「一番痛いところを指さしてください」と伝えて、PSIS付近を指さした場合は、仙腸関節障害の可能性が特に高いです。
仙腸関節障害が疑われた場合には、次のような疼痛誘発テストを行います。
- Gaensulen(ゲンスレン)テスト
- Patrick(パトリック)テスト
- Newton(ニュートン)テスト変法
これらのテストで疼痛が誘発される可能性は、Gaenslenテストで77%、Patrickテストで68%、Newton テスト変法で86%と報告されています1)。
- Gaensulen(ゲンスレン)テスト
患者さんは背臥位となり、健側下肢を抱え込み、検査者が患側の大腿部を押し込みます。仙腸関節痛の出現で陽性とします。股関節痛との鑑別をするために、患側骨盤を後傾方向へ固定下、非固定下で行います。
- Patrick(パトリック)テスト
患者さんは背臥位となり、検査者が患側下肢を組み、下方へ押すことで仙腸関節痛の有無を確認します。股関節痛との鑑別をするために、患側骨盤を固定下、非固定下で行います。(画像では健側固定となっている点に要注意!!)
- Newton(ニュートン)テスト変法
患者さんは腹臥位となり、検査者が患側の仙腸関節部に圧迫を加え、疼痛の有無を確認します。
多くの著書や講習会では、GaenslenテストとPatrickテストの併用が推奨されています。
両テストを行う上で大事なことは、骨盤の固定と非固定での疼痛の有無をしっかり鑑別することです。
非固定下でのみ疼痛が出現する場合は、仙腸関節障害によって痛みが誘発されている可能性が非常に高いです。
ここまで評価したら、
これは仙腸関節障害による痛みだ! と判断することができます。
いかがでしょうか?
次の段階としては、痛みを拾っている組織は何か、なぜそこにストレスが加わっているのか、を評価していくことになります。
これについては、また次の機会にまとめたいと思います。
引用
1)村上栄一. 仙腸関節由来の腰痛. 日本腰痛学会雑誌, 2007, 13.1: 40-47.
2)永井聡,他:股関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く.株式会社メジカルビュー社 第1版,2018.
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